地球の水の循環から解き明かす気候の変動の鍵は『沿岸』にあり!

地球

水の循環を宇宙から10年間眺めつづけた研究

川は山に降った雨が集まり、海に向かって流れる大きな水の流れです。
雨が多いと川の流れが激しくなり、土や小岩などさまざまなものを運びます。

さて、その水の流れを宇宙から見ていみるとこのような写真になります。
カリフォルニアの研究グループは、宇宙から撮影された
特別な写真を使って興味深い研究をしています。

研究グループは10年間、海面近くの水の塩分濃度を観察してきました。
彼らの目的は、陸地からの水と海水がどのように混ざるかを理解することです。
この研究は、雨水が陸、海、大気の間をどのように移動するかを
理解するのに役立つため、非常に重要としています。

Credit: NASA/OB.DAAC

まるで高いところを飛んでいる鳥の視線のようです。
この2023年12月の衛星からの写真では、ルイジアナ州とテキサス州の間に巨大な雲があります。
この雲は、大雨の後にミシシッピ川が運んできたものでできたものとされています。

科学者たちは、川が海岸近くの水にどのような影響を与えるかを研究し、
水がこれまで知られていなかった方法でどのように振る舞うかについて、
新しいことを学んでいます。

【海岸】は、大きな浴槽の縁のように、陸地と海が接している場所です。
ここでは陸からの川の水が、常に海に流れ込んでいます。
雨が多かったり、陸から海に水が流れたりすると、海岸が変わります。

「エルニーニョ」と「ラニーニャ」とは

エルニーニョと呼ばれる大きな気象現象は、
世界中の様々な場所で、暑さと大量の雨をもたらす天候です。

2011年から2022年までの10年間、研究グループは宇宙からの写真を見て、
海水がどのくらい塩分を含んでいるかを調べました。

これは、雨が空から降って川に流れ、海に流れ、
時には再び雲に変わる水のサイクルを理解するのに役立ちます。
水の循環を理解することは、私たちの世界が
どのように機能しているかを知る上で非常に重要です。

海の塩分濃度を調べることで、水が地球の周りをどのように
移動しているかを解明することができます。

その結果、海岸付近の水の塩分濃度の変化が、
エルニーニョ南方振動、略して「ENSO」と呼ばれるものと
本当に関係があることを発見したといいます。

「ENSO」には2つのものがあり、世界中の天候を変化させる、
その方法が相反してそれぞれ異なります。

エルニーニョ

エルニーニョが発生すると、太平洋の赤道付近の海が通常よりも暖かくなり、
アメリカ南西部のような場所では雨が多く降るようになります。
しかし同時に、インドネシアのような乾燥した地域も生み出します。

ラニーニャ

ラニーニャ現象が発生すると、その逆の現象が起こる。
エルニーニョの時には乾燥していた場所が雨をたくさん降らせるかもしれないし、
雨だった場所が乾燥させる逆の作用があります。

2015年に起こった特別な「エルニーニョ気象現象」

宇宙にある観測装置からの画像データは、
場所や時期によって水の塩分濃度を見ることができます。

Credit: NASA’s Scientific Visualization Studio

青い部分は水があまり塩辛くないことを意味し、
黄色い部分は塩辛いことを意味します。

研究により、世界中で興味深いことが起きていることに気づきました。
2015年では、陸に降る雨が少なくなったので、海に流れ込む川が少なくなっていたのです。
これは、スープに塩を入れすぎたときのように、海岸近くの海水をより塩辛くしました。

時には、その逆も起こります。
陸上で雨が多いと、川はより多くの水を海に運びます。
これにより、海岸近くの海水は塩分が少なくなります。

2015年の研究では、海岸近くの水は大きく変化し、
特にミシシッピ川やアマゾン川のような大きな川が海に流れ込む場所では、
より多くの川が流れだし、塩分濃度が低く(青く)なっています。

Credit: NASA’s Scientific Visualization Studio

NASAのもうひとつの衛星写真は、ベンガル湾やアラビア海についても
興味深いものを見せてくれます。
ベンガル湾の水はアラビア海ほどしょっぱくないことがわかりました。
青く見えるベンガル湾では、モンスーンの季節に雨や淡水が流れ込むため、
水の塩分濃度が低くなっています。

水中の塩分は、何か重要なことを教えてくれるシグナルのようなものです。
地球温暖化によって地球上の水の動きが変化していることに気づくことができます。
これには、大雨が降ったときや、陸から海へ水が流れ込んだときなどが含まれています。

雨や流出水の影響を大きく受けるため、
そこに含まれる塩分の量から、地球をめぐる水の動きに
大きな変化が起きているかどうかを知ることができる重要な場所となっています。

そして、多くの人が、地球の全人口の約40%が海から60マイル(100キロ)以内
住んでいる事実を知らないでいます。

つまり、海岸付近の水の塩分濃度を観察することで、
科学者たちは気候変動によって地球の水循環に何が起きているのか、
私たちの生活に直結している影響や多くのことを知ることができる重要な場所としています。

科学者が海について学ぶために使っている、素晴らしい衛星ツール

それはアクエリアス・ミッションと呼ばれる衛星ツール
【アクエリアス:NASA公式サイト】
https://science.nasa.gov/mission/aquarius

『Aquarius SAC-D 衛星』
SAC-D(Satelite de Aplicaciones Cientificas-D)

NASA

2011年に打ち上げられ、科学者たちが世界中の海面の
塩分濃度を初めて写真に撮ることに成功した衛星です。
海がどのようにマイクロ波エネルギーを放出しているのか、
そのわずかな変化にも気づくことができ高性能な装置を用いていました。

しかし、河川や海洋のようなものを測定するために使っているツールは、
設置や維持にとてもお金がかかっていました。
また、世界のすべての地域をカバーすることはできません。
特に、あまり人が住んでいないような遠く離れた場所はそうです。

アクエリアス・ミッションは「NASA」と、SAC-Dの運用はアルゼンチン宇宙活動委員会「CONAE」という宇宙機関の共同ミッションです。宇宙のはるか上空から海洋について理解を深める研究をしています。

SAC-Dは、故障して電力と姿勢が制御できなくなったため、
2015年6月8日に運用を終了した。

SAC-D(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/SAC-D

資料:出展元

NASAはエルニーニョが沿岸水域の塩分濃度を変化させることを
どのように発見したか(2024 年 4 月 3 日付け)より
https://www.jpl.nasa.gov/news/how-nasa-spotted-el-nino-changing-the-saltiness-of-coastal-waters

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